帝国データバンクが、2021年4月に調査した「人手不足に対する企業の動向調査」の結果を発表しました。まん延防止等重点措置の適用と3回目の緊急事態宣言が出された時期ですが、依然として雇用継続に苦慮している企業がある一方で、堅調な回復から人手が不足している企業もあり、企業の動向に二極化が表れていることがわかりました。
正社員の「不足」は37.2%。前年同月より増加も2年前と比較すると大幅に低下
正社員が不足していると答えた企業は37.2%(前年同月比6.2 ポイント増、2年前比 13.1ポイント減)でした。1回目の緊急事態宣言の最中であった1年前と比べると人手不足割合は増加しているものの、新型コロナウイルスの影響を受けていない2年前からは 10 ポイント以上下回っています。業種別では、「メンテナンス・警備・検査」と「教育サービス」(ともに 55.6%)が最も高いという結果でした。以下、「建設」(54.5%)、「情報サービス」(54.1%)、「農・林・水産」(53.5%)、「自動車・同部品小売」(50.0%)が5割台の上位で続いています。
非正社員の「不足」は 20.6%。業種では「飲食店」が唯一5割
非正社員が不足していると答えた企業は、20.6%(前年同月比4.0 ポイント増、2年前比11.2 ポイント減)でした。業種別では、「飲食店」が50.0%と唯一の5割台でしたが、2年前(78.6%)と比較すると、人手不足の割合は大幅に低下していることがわかります。次いで、「教育サービス」(46.2%)、「各種商品小売」(45.2%)、「メンテナンス・警備・検査」(42.8%)が4割台で続きました。
抜本的対策を講じなければ、人手不足は再拡大の傾向
正社員の人手不足割合は前年同月より6.2ポイントの増加がみられたものの、新型コロナの影響を受けていない2年前と比べると、10ポイント以上下回っています。この傾向は、非正社員や企業規模別でみても同様の傾向で、企業における人手不足感は高まっているものの、新型コロナ以前と比較すると緩和状態が続いています。
ただ、逆に言えば新型コロナという非常事態によって人手不足は大きく低下したにもかかわらず、この調査からは依然人手不足感をもっている企業は多いという結果がわかり、抜本的な解決策を講じなければすぐにこの傾向は高まってしまうことにつながります。調査結果の分析でも、今からそれに備えた対策、対応を検討していく必要があるとしています。