厚生労働省が平成30年「高齢者の雇用状況」(6月1日現在)を公表しました。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)では65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務づけており、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めています。今回の集計結果は、この雇用状況を報告した従業員31人以上の企業15万6,989社の状況をまとめたものです。
定年の引上げによる措置を講じる企業が微増
調査によると、65歳まで雇用確保措置のある企業は全体で99.8%となっています。内訳としては、「定年制の廃止」が2.6%(変動なし)、「定年の引上げ」が18.1%(1.0ポイント増加)、「継続雇用制度の導入」が79.3%(1.0ポイント減少)となっており、定年制度よりも継続雇用制度により雇用確保措置を講じる企業の比率が圧倒的に高い状況が読み取れますが、わずかながら定年の引上げを講じる企業が増加している様子も読み取れます。また、65歳を定年とする企業は全体で16.1%(0.8ポイント増加)、中小企業で16.8%、大企業で9.4%となっています。
66歳以上働ける制度のある企業は約28%
66歳以上働ける制度のある企業は全体で27.6%(中小企業28.2%、大企業21.8%)に上っています。希望者全員が働ける制度に限ると10.6%になります(中小企業11.4%、大企業3.5%)。また、70歳以上働ける制度のある企業は全体で25.8%(中小企業26.5%、大企業20.1%)、定年制の廃止企業は2.6%(中小企業2.9%、大企業0.5%)となっており、人手不足が深刻な中小企業では特に、高齢者の雇用に関する意欲が高いことがうかがえます。
政府は70歳まで雇用継続へ法改正を検討
政府は11月26日に行われた未来投資会議で、雇用の継続を企業に求める年齢を現在の65歳から70歳へ引き上げるために高年齢者雇用安定法の改正を目指すとしています。雇用継続は定年延長や再雇用制度の導入だけでなく、別の企業で働き続けるといった他の選択肢を盛り込むことも検討するとしています。高年齢者の雇用に関する措置については、さらなる検討が必要でしょう。