2024年度の最低賃金について、厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月25日、目安額を全国平均で時給1,054円とする答申を行いました。引上額は50円となり、1,000円の大台に乗った2023年度の額を超え、4年連続で過去最大となりました。
「最低賃金」制度 最低賃金は、最低賃金法に基づき国が定めるもので、使用者は、労働者にその金額以上の賃金を支払わなければなりません。都道府県別に最低賃金が定められ、この地域別最低賃金以上の賃金を支払わない場合、罰則が科せられます。 |
ちなみに、東京都の最低賃金については、8月5日に東京地方最低賃金審議会が東京労働局長に対し時給1,163円に改正することが適当であるとの答申が行なわれました。
これを受けて東京労働局長は、東京都最低賃金を時間額1,163 円とする決定を行い、8月30 日に官報公示が行なわれました。効力発生日は令和6年10 月1日です。
最低賃金に関するQ&A
最低賃金額より低い賃金で契約した場合はどうなるの?
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。
使用者が最低賃金を支払っていない場合にはどうなるの?
使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。
地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。
「地域別最低賃金」とは、産業や職種にかかわりなく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金です。各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。
最低賃金の対象となる賃金とは?
労働者に支払われる賃金のうち、最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金です。残業代やボーナスは含まれませんので、注意が必要です。
最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金なので、最低賃金を計算する場合には、実際に支払われる賃金から以下の賃金を除外したものが対象となります。
【最低賃金の対象とならない賃金】
(1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2)1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
最低賃金の計算方法は?
時間給・日給・月給の場合、以下となります。
(1)時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
(2)日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
(3)月給の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
月給制で支給されるAさんの賃金をチェックしてみました。 ●●県で働く労働者Aさんは、 基本給が月160,000円、 職務手当が月20,000円、 通勤手当が月5,000円が支給されています。 また、この他、残業や休日出勤があれば時間外手当、休日手当が支給されます。 先月は、時間外手当が30,000円支給され、 合計が215,000円でした。 なお、Aさんの会社は、 年間所定労働日数は250日、 1日の所定労働時間は8時間で、 仮に●●県の最低賃金は時間額1,000 円とします。 Aさんのこの賃金が最低賃金(1,000 円)を上回っているかどうかは次のように調べます。 (1)総支給額から、最低賃金の対象とならない賃金の通勤手当、時間外手当を除きます。 215,000円 −(5,000円+30,000円)= 180,000円 (2)この金額を時間額に換算し、最低賃金額と比較すると、 (180,000円 × 12か月)÷(250日 × 8時間)= 1,080円 >1,000 円 |