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賃金のデジタル払いを可能にする改正省令が公布

厚生労働省は、賃金のデジタル払い(資金移動業者の口座への賃金支払い)を可能とする「労働基準法施行規則の一部を改正する省令」を公布しました。
企業は、労使協定を締結したうえで労働者から同意を得れば、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払いができるようになります。
ちなみに、給与の振込先が拡大されるのは25年ぶりです。

1.趣旨・概要
 賃金の支払方法については、通貨のほか、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等によることができることとされています。
 キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることも踏まえ、今般、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)ができることとしました。

厚労省HPより

企業が賃金のデジタル払いを実施するには、労働者の同意が必要です。労働者からの同意は、書面または電磁的記録によるものとし、書面などには、デジタル払いを希望する賃金の範囲(定期賃金、賞与、退職金)と金額のほか、指定する移動業者名・資金移動サービスの名称・アカウントID、開始希望時期を記載します。
労働者への説明事項などを記載した同意書の様式例も厚生労働省から提示されています。

賃金のデジタル払いは必ず実施しなければならないのでしょうか。引き続き、銀行口座等で受け取ることができなくなるのでしょうか。

賃金のデジタル払いは、賃金の支払・受取の選択肢の1つです。
労働者が希望しない場合は賃金のデジタル払いを選択する必要はなく、これまでどおり銀行口座等で賃金を受け取ることができます。また、使用者は希望しない労働者に強制してはいけません。
賃金の一部を資金移動業者口座で受け取り、残りを銀行口座等で受け取ることも可能です。

賃金のデジタル払いを選択した場合、ポイントや仮想通貨などで賃金が支払われることがありうるのでしょうか。

現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払は認められません。

いつから賃金のデジタル払いが可能になるのでしょうか。

令和5年4月1日から、資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請を行うことができます。
申請を受け付けた後、厚生労働省で審査を行い、基準を満たしている場合にはその事業者を指定します。この審査には、数か月かかることが見込まれます。
その後、各事業場で、賃金のデジタル払いを行う場合には、利用する指定資金移動業者などを内容とする労使協定を締結いただく必要があります。

指定資金移動業者が破綻した場合、アカウント残高は消えてしまうのでしょうか。

厚生労働大臣の指定する資金移動業者が破綻した場合には、賃金受取に用いる口座の残高が保証機関から速やかに弁済されます。

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