雇用調整助成金に関する解説

ご承知の通り新型コロナウイルス感染症が全世界で拡大しております。これに伴い令和2年4月7日、政府より新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されました。
令和2年4月7日から5月6日までの1か月間、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、及び福岡県の7都府県においては、緊急事態措置の実効性を高め、爆発的な感染拡大を防ぐため、事業の休業要請や外出自粛要請等が出される見通しです。すでに売り上げ減少やそれに伴う従業員の休業等を行っている企業も増えており、業種を問わず事業へ甚大な影響が出ることが容易に予想されます。

従業員を事業主都合で休業させた場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があります。この休業手当の補填として、国が助成してくれる制度、それが雇用調整助成金です。

雇用調整助成金は、「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合」に助成される制度です。
ゆえに、事業主都合により休業を与え、それに対して休業手当が支払われている場合に対象になります。年次有給休暇で処理した場合や事業主都合によらない休業の場合は対象外です。

◇休業手当とは?
【労働基準法第26 条】使用者の責に帰すべき事由よる休業の場合においては、使用者は、休業期間中、当該労働者に、平均賃金の60/100以上手当を支払わなければならない。

◇平均賃金とは?
【労働基準法第12条】事由の発生した日以前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で除した金額です。

現在、ハローワークや労働局に雇用調整助成金に関する問い合わせを行ってもなかなかつながりずらいほど多くの皆様が関心を寄せています。社労士事務所に関しても、顧問先企業への対応で手いっぱいというのが現状です。今回は取り急ぎ、雇用調整助成金に関する概要をご説明しますので、是非お役立てください。

◇どのような休業が対象か?
1:労使協定による休業であること
2:事業主が指定した対象期間内( 1年間)に行われること
3:判定基礎期間において、対象労働者にかかる休業の延べ日数が、所定労働延べ日数の1/20以上であること
4:休業手当の支払いが、労働基準法第 26 条の規定に違反していないこと
5:所定労働日の時間内に実施されること
6:所定労働日全 1日にわたるもの、または所定労働時間内に対象労働者全員につき一斉1時間以上行われること

◇助成金手続きの流れ
1:労使協定を締結します
2:労働局へ計画届等を提出します
3:休業等の実施、休業手当の支払
4:労働局へ支給申請書を提出します

◇計画届をハローワークに提出
1:休業等実施計画届
2:事業活動に関する申出書1
3:事業活動に関する申出書2
4:休業計画一覧表
5:労使協定書・労働者代表選任書
6:登記事項証明書
7:労働者名簿
8:月次損益計算書(直近1か月及び前年同月)
9:就業規則

◇支給申請書をハローワークに提出
1:支給申請書
2:助成額算定書
3:休業実績一覧表
4:支給要件確認申立書
5:労働保険確定保険料申告書
6:出勤簿等(勤務カレンダー、シフト表なども)
7:賃金台帳(4か月分)

申請準備前には、必ずガイドブックをご一読ください。

今後も五月雨式に新たな情報が出てくることでしょう。
厚労省のHPを随時確認することをお勧めいたします。

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